「福祉用具」と「リフォーム(住宅改修)」は何が違う?
ざっくり言うと、**「置く・つかむだけで使える道具」が福祉用具、「家そのものに手を加える工事」がリフォーム(住宅改修)**です。
- 福祉用具:工事をせずに使える道具。据え置き型・突っ張り型の手すり、スロープ、歩行器、車いす、介護ベッド、シャワーチェアなど。レンタルや購入で使います。体の状態が変われば交換・返却できるのが利点です。
- リフォーム(住宅改修):家に工事をするもの。壁にネジで固定する手すり、敷居を撤去しての段差解消、滑りにくい床材への変更、扉を引き戸にする、和式から洋式の便器へ替える、など。しっかり支えられて見た目もすっきりしますが、元に戻しにくいのが特徴です。
介護保険での3つの区分
介護保険では、大きく次の3つに分かれます。いずれも要支援・要介護の認定を受けた方が対象で、自己負担は所得に応じて1〜3割です(2026年6月確認時点)。
- 福祉用具貸与(レンタル):月額でレンタルします。工事の要らない手すり、スロープ、歩行器、車いす、介護ベッドなどが中心です。
- 特定福祉用具販売(購入):入浴・排泄に使うものなど、肌に触れて再利用になじまないもの(シャワーチェア、入浴用の手すり、ポータブルトイレなど)。年間で10万円までが購入費の対象です(確認時点)。
- 住宅改修(リフォーム):工事を伴うもの。上限20万円までが対象で(確認時点)、工事を始める前の事前申請が必要です。
なお、2024年4月から、固定用スロープ・歩行器(歩行車を除く)・単点杖・多点杖などは「レンタルか購入かを選べる」しくみ(選択制)になりました。どちらが向くかは使う期間によって変わるので、ケアマネジャーや福祉用具専門相談員に相談すると安心です。
【迷いやすい】手すり・スロープはどっち?
いちばん混乱しやすいのが、同じ「手すり」「スロープ」でも、付け方によって制度が変わる点です。
- 手すり:床に置くだけ・天井と床で突っ張って自立するタイプは「福祉用具(レンタル)」。壁にネジで固定するタイプは「住宅改修(工事)」です。
- スロープ:持ち運べる可搬型は「福祉用具」、室内の小さな段差に常時据えて使う固定用は「選択制」、屋外にコンクリート等で造作する恒久的なものは「住宅改修(工事)」になります。
つまり「手すり=必ず工事」ではありません。まず福祉用具で足りないかを考えるのが、ムダを避けるコツです。
理学療法士の視点:まず「用具で試せないか」から考える
工事は、一度やると後戻りがしにくいものです。一方で、退院直後などは、体の状態がこれから回復したり変化したりする時期でもあります。
そこで私がよくお伝えするのは、**「まず福祉用具で様子を見て、それでも足りなければ工事を考える」**という順番です。福祉用具なら、合わなければ交換・返却ができるので、変化の途中でも調整がききます。
ただし、毎日強く体重をかける場所——立ち上がりや浴室のまたぎなど——は、ぐらつかない固定式の手すり(工事)のほうが安心なこともあります。判断の目安は次の3つです。
- どの動作がつらいか(立つ・座る・またぐ・歩く)
- どれくらいの力で支える必要があるか(軽く触れる程度か、全体重を預けるか)
- 体の状態がこれから変わりそうか
ここを、体の動きを見る専門職(理学療法士・作業療法士)やケアマネジャー・福祉用具専門相談員と一緒に見極めると、必要な場所に必要なものだけを選べて、安全と費用のムダの両方を減らせる場合があります。
費用と相談の窓口(用具と工事で違います)
相談先と手続きが少し違うので、整理しておきます。
- 福祉用具(レンタル・購入):ケアマネジャーと福祉用具専門相談員に相談します。
- 住宅改修(工事):ケアマネジャーに相談し、工事の前に事前申請をしてから施工します。制度のくわしい中身は介護保険の住宅改修費とは(最大20万円)、手続きの流れは申請の流れとケアマネの役割にまとめています。
そして、工事が必要だと分かったら——リフォームは定価のない世界なので、**複数の会社で見積もりを比べる(相見積もり)**ことが大切です。1社ずつ問い合わせるのは大変なので、まとめて無料で取り寄せられるサービスを使うと手間が省けます。会社選びのポイントは失敗しない介護リフォーム業者の選び方、費用感は介護リフォームの費用・相場はいくら?も参考にしてください。
なお、私たちは申請の代行はしません。申請の窓口や可否の判断は、ケアマネジャー・地域包括支援センター・市区町村にご相談ください。
まとめ
- 取り外せて状態に合わせて変えられるもの=福祉用具、家を恒久的に変える工事=リフォーム(住宅改修)。
- 介護保険では3区分(福祉用具貸与・特定福祉用具販売・住宅改修)。手すりやスロープは「付け方」で制度が分かれる。
- まず「用具で足りないか」から考えると、後戻りできない工事のムダを避けられる。
- 工事が必要なら、事前申請を忘れず、複数社で相見積もりを。
道具で解決できることも、工事が向くこともあります。大切なのは、ご本人の動きに合わせて選ぶこと。迷ったら、ひとりで抱え込まず、ケアマネジャーや担当の専門職に相談しながら進めていきましょう。
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※この記事は一般的な情報をまとめたものです。お一人おひとりの体の状態や介護・医療的な判断は、主治医・ケアマネジャー・地域包括支援センター等にご相談ください。介護保険・福祉用具・住宅改修などの制度や金額は変わることがあるため、最新はお住まいの市区町村でご確認ください。
